〇春から冬へのサイクル
木には1年を通しての生育サイクルがあり、大きくふたつに分かれます。木が活動して生長する時期が「生育期」、反対に活動を休止して休んでいる時期が「休眠期」です。
〇若木から成木へ
それぞれの木の生育の段階によっても、生活サイクルはかわってきます。苗木と成木の違いは大きさだけでなく、花が咲いたり、実がなったりという、その植物のもつ特徴が見られるかどうかというところにもあります。
〇生育サイクルにあわせた手入れ
若木と成木では、必要な管理もそれぞれ違います。 【若木の場合】なるべく早く大きくさせることが目的です。よくのびる勢いの強い枝を出させたいので、発芽前の強剪定と、その後の初夏の剪定を忘れずに行います。 肥料は、枝葉をのばすチッ素分を主体としたものを施し、実や花をつけさせるリン酸分は控えるようにします。 【成木の場合】花、実を楽しむのが目的です。勢いの強い枝を出さずに、枝の長さが揃うような剪定を行います。 肥料は、チッ素分が強すぎると花が咲かなくなるので、必ずチッ素、リン酸、カリの3要素混合のものを施します。特にリン酸分を多くすると花、実がよくつきます。
〇木には肥料が必要
自然の土の中にも肥料分は含まれていますが、十分ではありません。
そこで人工的に肥料を与えることになりますが、施肥には適期があります。
【12月上旬~2月上旬】1年間の生育の基礎になる「寒肥(かんごえ)」といわれるもので、おもに有機質肥料を施します。 【5月中旬~6月下旬】花のお礼肥(れいごえ)をかねて寒肥より少なめに施します。このときは地面を掘らず、上からばらまきます。
〇肥料には種類がある
肥料には、有機質肥料と化学肥料があります。有機質肥料は堆肥、油かすなど、自然素材のものからつくった肥料で、植物にやさしくゆっくり効くものが多く、化学肥料は人工的につくった肥料で、遅効性のものから即効性のものまでいろいろあります。 【肥料の3要素】チッ素、リン酸、カリウムのことです。チッ素は葉や茎、根を育て、リン酸は花や実をつけ、カリウムは植物を丈夫にしたり、葉につやを出す、といった働きをします。目的にあわせて肥料成分の配合をかえて使います。
〇異常の原因を見極める
樹木の異常を見つけたら、まず、その原因が病気か害虫かを調べることから始めます。
【病気】葉が白くなる、黒色や褐色の斑点がついている、葉がふくらむ、葉が落ちる、実がしぼむ、カビ状のものがつくなどの症状が出ます。
【害虫】下に糞が落ちている、葉に穴があく、葉に斑点がつく、幹から木くずが出る、白いかたまりがつくなどの状態が観察できます。
〇素早い処置が大切
病気でも害虫でも、処置が早ければ早いほど効果的です。早期であれば、害虫も小さく、数も少なかったりするので、捕殺できます。また、薬剤の散布の回数も少なくすみます。 ※病害虫退治は、休眠期が最適です。木の活動が休眠期に入ると、病害虫の活動も弱まります。この時期に越冬害虫や病原菌が潜んでいそうなところを消毒すると効果があります。